還流〜密室の混迷

相棒は、かなりの原点回帰に舵を切ったように思います。
味方に付いていたはずの人たちが、次々と離れていく。
容認しはじめていたはずの、特命係を切る方向に向かう。
心地よい、私たちファンにとって心地よい相棒ワールドの瓦解。


流れが逆戻りすること=還流


最初に戻しますよ、というスタッフからの挑戦状というわけか。





それが唐突なまでに現れたことへの理由付けが一切ない。
大河内監察官の、突然の保身はどうしたのか。
彼には何が起きたのか。
そこまで描いてこその相棒ではないのか。
一切描かれることもなく、米沢にまで及ぶ特命係阻害。
ここ数年、でしゃばりすぎた。
でしゃばりさせすぎたのは、お前たちファンなのだ、とでもいいたげなスタートだ。

存在自体が邪魔。
あなたたちはうざい。

そもそも特命係はそういう部署だったのに。
そういう存在をファンが多くついたなかで温かくしすぎた。
それゆえの、亀山薫の卒業発表。




ただのマンネリほど強いものはない。
ただのマンネリほどつまらないものはない。



だから、流れを元に戻す。
相棒とは、杉下右京あっての番組である。
彼がどれほど、人にうとまれても己の信念を曲げず、
人を傷つけてまでも、己の正義を通すドラマ。


もうそこに、私たちが同意できるような亀山薫の人情はいらないのか。





全く接点のないものがおかした、凄惨な殺人。
その外堀を埋めているのか、いないのかが描かれる2時間。
同じだけの時間、妙に昔のように極悪非道チックに描かれる
トリオ・ザ・捜一
被害者を殴りあばれ、それは刑事部長を思い通りに動かすための、捜査手法。
骨が折れなければ、殴ってもいいのか。
それでも解決しなければいけない事件はあるのか。





今日見た相棒には、確かに深いテーマが隠れているような気がした。
決して、誰にもこびないで痛烈に私たちを批判する。
新興国に食料だけ援助している日本。
その食料にだけお金をかけて、行く末まで見ているのか?
ただ純粋に国を救いたいという気持ちは、アマチュアと切り捨てられるような国なのか。
チャリティと銘打ったら、誰もお金を出さないのと同じように?
そこまで貧しい国なのか。
資源がなければ、手を差し伸べる必要さえないのか。
飢えている子供、死に行く人々の写真を見て、かわいそうだね、といっていれば誰かを救えるのか。
誰も救えなくても、何も痛まないのか。







でも、今日、ここには私が好きな相棒は見つけられなかった。
舵を、きったのはわかった。
でも、私にはその先に見える光る灯台が見えない。
あるべきはずの、灯台はどこか。
相棒という船はどこへ進むのか。
難破するのか?新たにもっと強靭なエンジンをえて、波を切り裂くのか。

それは来週にすべて語られるというのだろうか。




私のつまらない懸念なんぞふっとばすぐらいの、
重くて重くて、たまらない一撃の話を期待してます。


そういや、OPがすごくかわりました!といっていたので
いっそ歌うのかとおもったら、歌ってましたね。
・・・でも、この相棒にはそぐわない気がする。
これからぴったりになるのか。
どうなのか。